起業のきっかけ

 私がプロセスコンサルタントの道を決心した背景には、ソニー勤務時代の32年間において「誰もやっていないことへのチャレンジ」「自由闊達で愉快なること、仕事を愉しむ」の創業理念のもと、多種多様なプロジェクトを通じ失敗もありますが社内で一番多くの「まさかこんなことができるのか?」の成功体験!「一度知ったらやめられない自己実現の喜び」を体現してきたことです。苦しくても愉しいチャレンジの仕事人生であり創業者や諸先輩が創り上げた風土・文化で育ち刻み込まれたSONY DNAを広めたい想いです。

 

 もうひとつの背景には、「良い商品づくりは源流改善にあり、そして顧客視点にあり!の志で約5年毎に【製造→設計→開発→商品企画→品質・顧客満足向上→マーケティング販売→最後は人なりと人事】へと職場を源流へ遡りバリューチェーン全部署の経験による現場ノウハウが蓄積できたこと。そして最後に「モノづくりの価値を消費者へ伝える」+「消費者の顔が見える技術者の育成」の両輪で黒字化とファンづくりを図る目的で【本社設計&生産&販売マーケティングの3社協同の全社プロジェクトを企画運営し主任講師を5年間担当し消費者&企業が繋がる教育と仕組み構築で売上実証できたこと、人の目が輝き人は活き返ることの喜びを体現したことです。

 

 その過程で特に影響を与えたのは東日本大震災3.11、創業停止の関連工場で家が流され被災した社員40名を東北全土の家電量販店で2ヵ月間でお店の支援と接客販売に従事するプロジェクトリーダー兼講師として被災支援した出来事です。被災社員自身が心に傷を負っている中で畑違いのストレスでつぶれないこと、店舗より返還される脱落者を一人でも出さないことでした。その心のケア、やる気の向上維持、売上の実績、人生・仕事の喜びを喚起すること全てに苦心しました。

 実際、研修初日の登壇最初の第一声を「どんな顔でどんな声かけから始めれば良いのか?」研修直前まで答えは出ませんでした。そこで部下から「北川さん、いつも通りの笑顔で行きましょう!」との一言で覚悟が決まり講習を進めると、少しずつ受講者の目が輝き、笑顔が出始めました。最後には全員「やってみよう!」と参加意向の挙手があったのです。

 

 それから4か月後の報告会で脱落者は0人、各受入れ量販店の店長様から「他社は質が低く中止したがソニー社員だけは違う!継続して欲しい」との多数の感謝要望メッセージ、メンバーからは「売上がどんどん増える上にお客様からの感謝とリピート購入が増え続け、仕事の喜びが実感できた」「自分の人生が変わった、人生を救われたプロジェクトだった」等の発表が続き、参加者全員の目が輝き自信に溢れる凛々しい姿と歓喜と涙溢れる報告会でした。私は「人の人生の岐路に直接役立った喜び、会社人生で1番涙が止まらない1日」でした。この出来事から3年後、チームを任せられる後任と出会い、部下の独り立ちを見届け、50歳を契機に退職し起業しました。

 

 最後に、私を自由闊達な風土でチャレンジなSONYスピリットのDNA、そして指導頂いた上司・先輩方誰もやらない事へ一緒にチャレンジした仲間、支え付いてきてくれた部下や塾生関係者の皆様との出会いに感謝です。私の役目は新たな出会い、次世代へのDNA伝承です。